今年こそ! と決断しつつ続けられないのがダイエット。無理な食事制限や急激な運動や、お金のかかるジム通いは難しくても、ぽっこりお腹やぷるぷる二の腕とさよならできる方法があります。日本人ならみんな知っている「ラジオ体操」です。夏休みの風物詩ではなく、大人が健康でキレイになるためのラジオ体操を提唱している、整形外科医でスポーツドクターの中村格子先生に、その真髄を伝授していただきました。
「痩せてもたるめば老けて見えるだけ。ハリのある体を目指しましょう」
若いときと違って、中高年になると、食事だけのダイエットでは肌がたるんで体型が崩れる原因になります。落ちるのは筋肉で、リバウンドで付くのは脂肪です。だから必ず運動と組み合わせたダイエットを行ってください。筋肉はたんぱく質でてきているので、ダイエット中でもたんぱく質はきちんと摂る必要があります。たんぱく質は1日に吸収できる限界量が決まっていて、軽い運動をした後に摂ると効率よく吸収できます。そもそも「痩せる」のは健康には良くないことで、体重があっても引き締まってハリがあればキレイに見えるのです。肝心なのはキレイに見えることですよね? そのために最も大事なのが「姿勢」で、今すぐにできる方法は姿勢を正すことです(左下参照)。正しい姿勢を保つことで美しく見えるうえ、抗重力筋(インナーマッスル)を鍛えられる筋トレになって代謝も上がり、キレイになる好循環ができるのです。
正しい姿勢になると、呼吸量も増えるからです。吸う酸素の量も、吐く二酸化炭素の量も増えて、体の中に常に新鮮な空気が入ります。呼吸が浅くなって酸素が足りなくなるとあくびが出たり、二酸化炭素が溜まるとため息をつくのです。ため息やあくびは呼吸が浅い、つまり姿勢が悪くなっているという体からの信号です。呼吸がよくなると体内の循環も消化吸収もよくなって、健康になる。つまり姿勢を正すことで美しく健康になれるということです。
人間の体の大半は水分なので、細胞内水分を保持するために水を摂ることが大事です。水を摂るとむくむという人がいますが、むくみは水の摂取のみが問題でなく、脚を使った運動をせず筋肉ポンプの力が低下したり、心臓などの循環器の力が落ちるなどで生じます。少しでも運動すれば汗をかいて新陳代謝を高め、お肌もツルツルになります。汗をかけば体が水分を欲します。そこで質のいいお水を補給しましょう。普段汗もかかず、喉の渇きも感じないという人は、体を動かしていない証拠なので、キレイな体からも遠ざかってしまいますよ。
誰にでもおすすめできるのが、ご存知の「ラジオ体操」です。ラジオ体操はもともと、日本人の姿勢を正し、膝の曲がりを直すことをテーマに考え抜かれた究極の体操なのです。前述の通り、姿勢を正すことは健康にもキレイにも直結します。細部まで意識して真剣にやると、3分でも意外と疲れて「効く」ことを実感できます。大人の今こそ続けてほしい体操です。
1のときに、肩が上がってしまいがちなので、1のまま肩を下げましょう。
先生からのアドバイス
最初はこの姿勢だけでも疲れるので、楽な姿勢と交互でOK。続けるうちに姿勢筋が鍛えられ、無理なくできるようになります。
頭が前に出ないように、アゴだけを引くのではなく顔全体を後ろに引くように。
肋骨と骨盤の間隔を広げるようにウエストを長くする状態が正しい姿勢の基本。
中村格子 先生
Dr.KAKUKO Sports Clinic 院長。整形外科医・医学博士。横浜市立大学整形外科客員教授。テレビや健康雑誌など様々なメディアでも活躍中。http://www.dr-kakuko.com/